御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
すっと細くなる眼差し。その表情から、彼のよく知る人物が犯人なのだと悟る。

「あの家の住所をメアリーに教えたのは洸次郎さんだ。会いに行くべきだと、唆したのだろう。とっくに断ったはずの提携や縁談についても、まだ強引に推し進めようとしている」

「でも、どうして? 提携は、条件が合わなくて白紙になったって言ってましたよね? これ以上、推し進めるメリットなんて……」

「もはや久道グループのためではないよ。彼は自分の利益しか考えていない」

鋭い眼差しが力を持って輝き始める。

それは皇樹さんがなにかを決意したときに見せる目だと、私はよく知っている。

「楓。洸次郎さんとケリをつけようと思っている。信じて待っていてくれないか?」

「もちろんです」

私はいつだって皇樹さんを信じて待つ。もう迷わない、だって私は彼の妻なのだから。

今なら胸を張ってそう言える気がした。




しばらくすると、紅葉と子どもたちが帰ってきた。

「ただいまー!」

「ママ、げんきになった?」

私はにっこりと笑って「うん」と、ふたりの頭を撫でる。

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