御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
いつの間にか紅葉はエプロンを装着済みで、腰ひもを結びながらキッチンに入っていく。そのあとを追いかけていくのは子どもたちだ。

「きょうのごはんはカレーだよ!」

「もみじにいちゃんが、つくってくれるの」

声を揃えるふたり。

「もみじにいちゃんとパパ、どっちがじょうず?」

「どっちがおいしい?」

どうやら子どもたちは、パパのカレーと紅葉のカレーのどちらがおいしいか、ジャッジするつもりのようだ。

「紅葉。挑発に乗らない方がいいよ。皇樹さん、お料理上手だから」

「えっ……カレーって誰が作っても同じじゃないの?」

私は首を横に振る。料理にはさりげない気遣いが現れるものだ。

「……金持ちで料理まで上手って、どんなチート?」

「皇樹さんはスパダリなの」

私たちの真似をして子どもたちまで「ちーと」「すぱらりー」と連呼している。

皇樹さんは「変な言葉を子どもたちに聞かせないでくれ」と額を押さえた。




数日後。皇樹さんを通じてメアリーから連絡が来た。彼女はすぐに帰国せず、日本観光をしているよう。仕事の合間に少しだけ会えないかと提案された。

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