御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「カエデ。すみませんでした。コウキの本物の妻だと知らないデ、私、とても失礼ヲ……」

「いいの! 私こそ、その場で言えなくてごめんなさい」

「それはきっと、私を傷つけないためデスネ? カエデはとても親切で、優しいヒト。迷子の私に、声をかけてくれマシタ」

顔を上げた彼女は、どこか悲しげな笑みをたたえ、自身の胸に手を当てた。

「私はコウキを愛していると言いマシタ。けれど本当は、彼を愛していたのか、自分を愛していたのか、わからナイ。パパに、認めてもらいたかったのかもしれナイ」

皇樹さんも言っていた。彼女は追い詰められていたのだと。

良家の娘として定められた相手と結婚できるよう、必死に頑張っていたのだろう。

「だからせめて、コウキの役に立ちたい。私にできること、しようと思いマス」

メアリーは胸の前の手をきゅっと握って、なにかを強く決意するように目に力を込めた。



***



その日、俺は帰国を延期してくれたメアリーと秘書を連れて、叔父が代表を務めるグループ会社のひとつ、久道運送を訪れた。

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