御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
すでに証人として一名、名前が記されている。その署名を見て、叔父が目を剥く。

「近堂親臣だと?」

証人になってもらったのは、近堂ホールディングスの近堂会長だ。

『困ったらいつでも言いなさい。一度くらいは貸し借りなしで力になる』――会長のご厚意に甘え、署名をお願いした。財界の重鎮と名高い彼が認めた結婚となれば、異議は唱えられないだろう。

叔父は口の端を跳ね上げ「……小賢しい真似を」と小声で呟いて舌打ちした。

『皇樹、久道グループのためにも署名はできない。私は、君の結婚相手はメアリー嬢が相応しいと思っている』

『まだそんなことを言っているのですか。我々は早い段階で、ハワードグループとは提携しないと答えを出していたはずです。その決定をハワード氏に伝えず、メアリーを唆すとは』

『唆すとは穏やかじゃないな。俺は今でも提携を結ぶべきだと思っているよ。久道グループのさらなる躍進に繋がるからね』

『あの不利な条項を見てそう判断したのなら、今すぐ経営を辞めた方がいい。結局、あなたは自分の立場を有利にしたいだけだ』

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