御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
俺は手を掲げ秘書を呼びつける。秘書がタブレットを持ってきて、画面を叔父に提示した。

『あなたが内々に作成していた、ハワードグループとの契約書だ。うちを売り飛ばそうとでもしていたんですか?』

機密文書が俺の手に渡っていたことに驚いたのか、叔父はぴくりと眉を跳ね上げる。

「……身に覚えがないな」

悩んだ末、日本語で答えたのは、メアリーに聞かれたくなかったからだろう。当のメアリーは、日本語でもそれなりに聞き取れているのだが、当然叔父は知らない。

「あなたの秘書がすべて白状してくれました。帳簿にない内々の金の動きや、株の取引に関する裏工作まで。告発されれば、ただじゃ済みませんよ」

「信憑性に欠ける。どうせ確固たる証拠などないのだろう」

しらを切り通せると思っているのか、口もとに薄く笑みを浮かべて叔父が一蹴する。証拠を完璧に隠滅した自信があるのかもしれない。

「仮にそれが本物だとして、ならばどうする? 私が不正を働いた証拠を表沙汰にすると? 身内の不祥事が世に出れば、皇樹、お前も一緒に責任を取らされて代表の座から降ろされるぞ?」

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