御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
『ごきげんよう、ミスター・サンジョウ。早速だが、私は大変憤っている。娘に【クドウと結婚すれば、私の役に立てる】と吹き込んだそうだな』

叔父の顔から血の気が引く。

話によると、メアリーの父親は政略結婚など微塵も望んでいなかったそうだ。メアリーは叔父の巧みな言葉に騙され、俺と結婚すれば良家の長女としての役割が果たせると誤解した。

『私はクドウが娘との縁談を強く望んでいるというから了承しただけだ。それも「娘がクドウを気に入るなら」という条件付きで。私は娘に、自由な結婚をしてほしいと願っている』

『それは……、もちろんです! メアリー嬢は皇樹を気に入っているようでしたから、背中を押しただけで』

『確かに私は、我々の傘下に入るよう久道グループの経営陣を説得できたならば、その報酬として指揮権は君に預けると言った。だが説得するために娘を唆し、その気のない男と結婚させようとするなど言語道断だ』

怒りを滲ませるハワード氏。彼は久道グループとの提携を結びたかったわけではない。吸収を望んでいたようだ。

『どうりで。いくら条件を擦り合わせても平行線なわけです』

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