御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
俺はソファをぐるりと回り込んで叔父のうしろに立ち、カメラに映る位置へ移動した。

『お久しぶりです、ハワード氏。久道です。私はあなた方と対等の提携を希望しています』

『ごきげんよう、ミスター・クドウ。ふむ、対等か。それでは我々に旨みがないね。わざわざ手を組む必要性を感じない』

『では、我々が今後、アメリカのロッドウッド社と協力関係を結ぶと言ったらどうです?』

『ほう?』

ハワード氏が腕を組み唸る。

『二社が手を組めば、確かに我々の脅威になりえる。いいだろう。条件によっては提携に応じよう』

想定通りのリアクションに、ひっそりと安堵する。

しかし、ハワード氏は「だが」と口添えて、カメラのこちら側を指さした。

『娘を唆そうとした、そこの男を経営陣から外してくれ。それが、我々が提携を検討する条件だ』

叔父は愕然と身を乗り出し、タブレットに食らいつく。

『そんな……あんまりだ! 私がトップに立った久道グループを、傘下に収めたいとおっしゃっていたじゃありませんか!』

『約束を破ったのは君の方だ。大口を叩いた上に、娘まで騙すとは』

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