御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
ディスプレイの奥の目は冷ややかだ。軽蔑しきった眼差し――もはや、叔父を商談相手とは見ていない。

『なにより。私はね、仕事より娘を愛しているんだ。娘に害をなす人間は論外だよ』

彼の指先が画面の脇に触れると同時に、通信がプツリと切れる。

愕然とする叔父。メアリーはこれ以上話すことはないと言わんばかりに立ち上がった。

彼女のあとを追いかけ、項垂れる叔父の脇をすり抜ける。

「洸次郎さん。あなたの処遇については取締役会にかけます。……辞任する意思がおありでしたら、連絡をください」

背中を向けたままそう声をかけ、メアリーと秘書を連れ立って社長室を出た。




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