御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
柑音が目をキラキラと瞬かせる。

「おひめさまのふく、もってきてくれた?」

今日のために仕立てたピンク色のドレスを柑音は楽しみにしている。

「もちろん。柚希はスーツだね」

「ゆず、くびのリボンはヤだよ」

「ちゃんとパパみたいなネクタイにしたよ」

「やったぁ」

ぴょこぴょこと控室を飛び回る子どもたち。喜んでもらえて安心した。

そんな中、紅葉は「ここには楓だけ? 皇樹さんは?」と辺りを見回す。

「あっちの控室で近堂会長とお話ししているの。私もさっき、ご挨拶したわ」

「ああ、なるほど」

あの有名な近堂ホールディングスの会長が仲人を務めてくれた。皇樹さんのお父様のご友人で、皇樹さんにとってはお父様に次いで目標にしたい人物なのだそう。

一年前、私たちが提出した婚姻届にも証人として署名してくださった。

「私はこのあと、ヘアメイクの準備に呼ばれるらしいから、あちらでゆっくりしててもらおうと思って」

「そっか。じゃあ、俺たちも子どもたちと一緒に外に――」

そう言って彼らが部屋を出ようとしたそのとき、コンコンとドアをノックする音。

「はい、どうぞ」

私が声をかけると、「失礼シマス」と言ってドアを開けたのは、この日のためにわざわざ来日してくれたメアリーだった。

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