御曹司様、あなたの子ではありません！～双子がパパそっくりで隠し子になりませんでした～

髪を結い上げ、薄紫色の振袖を纏っていて、とても艶やかだ。

「カエデ！　さっきの白いドレス、とても素敵デシタ！　神前式、Amazingデス」

「あのドレスは白無垢っていうんですよ」

「シロムク！　私もいつかシロムクで結婚式がしたいデス」

以前よりもぐんと上手になった日本語で、興奮気味に伝えてくれる。

「喜んでもらえてよかったです。それにしても、本当に日本語が上手になりましたね」

「カエデとお話ししたいから、日本語練習してマス。それに今は、日本語の先生もイマス」

メアリーがちらりと目線を横に移動する。そこには蓮兄と会話中の紅葉がいて、ふとメアリーの視線に気づいてこちらを向いた。

「やあ、メアリー。その着物、似合ってるよ」

さらりと挨拶する紅葉。相手はイギリスの、格式高い家柄のご令嬢なのに、我が弟ながらふてぶてしさにびっくりする。

以前、我が家にメアリーを招いたら、居合わせた紅葉と意気投合したようで、気がつけば親しくなっていたのだ。

「ありがとう。モミジが選んでくれたおかげデス」

「モデルがよかったんじゃない？」