御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
すると、ふたりのうしろからエプロン姿の紅葉がやってきた。手にはトングを手にしていて、びっくりする。

「楓、おかえりー」

私と同じ白めの肌に茶色い目。二卵性ではあるけれど外見が似ている。フランスの血が強いのか、身長は兄たちと比べても抜きん出ていて、一八〇センチもある。

姉の私が言うのもなんだが、そこそこのイケメンで高収入。女性が放っておかないと思うのだが、浮いた話をまったく聞かないのはちょっぴり心配だ。

結婚しないのが、私たちのせいではないといいのだけれど……。

「って、まさかお夕飯作ってたの?」

弟が料理をするとは思わず、驚いて尋ねると。

「デリバリーのご飯を皿に分けてた。子どもたち、肉団子なら食べられるんだよね?」

そう言ってトングをカチャカチャ鳴らす。なるほどと納得し、靴を脱いだ。

「うん、大丈夫。いつもありがとう」

リビングに向かうと、ローテーブルの上にはデリバリーのプラスチックパックと子ども用の小皿。取り分けている真っ最中のようだ。

紅葉はトングとキッチンバサミを使って、器用に子どもたちのお皿によそっていく。

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