御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
すると、紅葉は膨れっ面をしてこちらに向き直った。

「じゃあさ、やっぱり一緒に暮らさない? 俺が家賃と光熱費出して、楓はもうちょっと仕事の量を減らしてさ。家事もできるようにすればいいんじゃない?」

「それは……ダメだよ」

一緒に暮らしていた時期もあった。出産前後は体調が不安定だったから、紅葉の家に居候していたのだ。

しかも双子のお世話は過酷だ。おむつ替えやミルクも二倍、お風呂や着替えも二倍、夜泣きも二倍なのだから。もはやひとりでどうにかできるレベルではなく、紅葉にたくさん助けられた。

紅葉は仕事柄、家を出ることはほとんどなく、自室で黙々と投資の仕事をしている。しかし、子どもたちが泣いていれば部屋から出てきて子育てを手伝わざるを得ないので、集中できる状況じゃない。加えて、夜も騒がしくて眠れない。

紅葉は文句こそ言わなかったけれど、疲弊しているのが見て取れたので、収入の目途が立った時点で彼の家を出たのだ。

「ふたりが赤ちゃんのときは、紅葉にたくさん助けられた。だからもうダメ。これ以上、迷惑かけるわけにはいかない」

「迷惑なんてなー。俺、柚希も柑音も大好きだしなー」

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