御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
なー?なー?と言って、柑音の頭を撫でながら、柚希と顔を見合わせて輪唱している。

そうは言うものの、私が紅葉に頼りきりになっちゃったら、紅葉が幸せになれないでしょう?

これからお嫁さんを見つけて家庭を作って、幸せになっていくはずなのに、それを私が邪魔するわけにはいかない。

紅葉はあきらめて子どもたちと一緒に食事を始める。私が折れないのはわかっているのだろう、これまで幾度とそう持ちかけられてきたけれど、一度もイエスとは言わなかったのだから。

「楓って強情っぱりだよなー。甘えてくれていいのに。世界でたったひとりの双子の弟なんだからさ」

「ごうじょおぱりー」

「ごじょ……ぱり?」

とりあえずノリで連呼する柚希と、きょとんとする柑音。しばらく前から私たちの会話の意味をわかっていないのだろう。

「こうやってたまに来てくれるだけでも、すごく助かってるよ」

紅葉は月に数回、顔を覗かせてくれる。それだけでもすごく心強いのだ。体力的にも、精神的にも。

「了解~。あ、じゃあさ、次の日曜日、お出かけする? 車出すよ」

< 28 / 255 >

この作品をシェア

pagetop