御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
――と、私を含めて周囲の人間はみなそう思っていたが、当の皇樹さんは違ったらしい。

彼は家柄など関係ないと、その愛を証明するかのように私を激しく抱いて――いや、思い出すのはよしておこう。あの夜のことを思うと、今でもたまらない気持ちになる……!

とにかく、彼は私の家柄ではなく、私自身を愛してくれた。

私たちの交際に、彼のお父様が心から賛同してくれているのかはわからないけれど、反対されていないのは確かなようで、こうして恋人関係は続いている。

「だが身を引くのはもうナシだ。俺は謙虚が美徳だなんて思わない」

「もう……しません」

勝手に別れようとしたお仕置きと称して、たっぷり愛されたのを思い出し頬が熱くなる。

彼はベッドの中でも外でもとっても優しいのだけれど、あの日はとくに甘やかに、情熱的に愛されて私はもう……。

「どうした? 顔が赤いが……やっぱり風邪でも引いたんじゃないか?」

気づけば端正な顔が間近に迫っていて、「きゃっ」と肩を跳ね上げた。

「違うの、大丈夫」

慌てて言い繕い顔を伏せる。愛された夜を思い出してひとり悶えていたなんて知られるわけにはいかない。

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