御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「ううん」「げんき」
「えー」
子どもたちに付き合わされてすっかりヘトヘトの紅葉がげんなりと肩を落とす。
当の子どもたちは疲れを自覚していないらしく、まだまだ元気いっぱいだ。だが、これまでの経験からいって、車に乗せた途端にぐっすり眠ると思う。
駐車場に向かう道を歩いていると、ふと柑音が私の手をくいくいと引っ張った。
「どうしたの、柑音?」
柑音は頭の上に手を置いて「ぼうし……?」と不思議そうな顔をしている。
「え、帽子、いったいどこに……」
さっきまで被っていたはずの柑音の帽子はどこへ消えたのか。
驚いて辺りを見回すと――あった。来た道にぽつんと白い帽子が落ちている。
小さくて軽い綿素材の帽子は、風が吹くと今にも飛んでいってしまいそう。
私は柑音に「ここで紅葉兄ちゃんと一緒にいて」とお願いすると、帽子に向かって駆け出した。
五十メートルくらい小走りしただろうか。
「よい、しょ」
息を切らしながらも、なんとか柑音のお気に入りの帽子を回収する。
三人のもとに戻ろうと、顔を上げたとき。
「楓……?」
「えー」
子どもたちに付き合わされてすっかりヘトヘトの紅葉がげんなりと肩を落とす。
当の子どもたちは疲れを自覚していないらしく、まだまだ元気いっぱいだ。だが、これまでの経験からいって、車に乗せた途端にぐっすり眠ると思う。
駐車場に向かう道を歩いていると、ふと柑音が私の手をくいくいと引っ張った。
「どうしたの、柑音?」
柑音は頭の上に手を置いて「ぼうし……?」と不思議そうな顔をしている。
「え、帽子、いったいどこに……」
さっきまで被っていたはずの柑音の帽子はどこへ消えたのか。
驚いて辺りを見回すと――あった。来た道にぽつんと白い帽子が落ちている。
小さくて軽い綿素材の帽子は、風が吹くと今にも飛んでいってしまいそう。
私は柑音に「ここで紅葉兄ちゃんと一緒にいて」とお願いすると、帽子に向かって駆け出した。
五十メートルくらい小走りしただろうか。
「よい、しょ」
息を切らしながらも、なんとか柑音のお気に入りの帽子を回収する。
三人のもとに戻ろうと、顔を上げたとき。
「楓……?」