御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
皇樹さんは面食らった顔で「ママ……? わるもの……?」と繰り返す。

そのうしろから紅葉が「ふたりとも!」と慌てたように駆けてきた。「すみません!」と謝罪して、足もとのふたりを抱きかかえる。

「君は――」

紅葉が双子ではなくただの弟だったなら、彼がパパだと誤解していただろう。

しかし皇樹さんはすぐに、私とそっくりな容姿を持つ彼の正体に気づいた。

「もしかして、紅葉くんか……?」

紅葉の方も、皇樹さんとは十年以上も疎遠だったが、ピンときたらしく「……ども。お久しぶりです」となんとも言えない顔で挨拶する。

沈黙を打ち破ったのは、子どもたちだった。

「もみじにいちゃん! ママをいじめる、わるものだよ! やっつけて!」

いつも以上に達者な口調で柚希が叫ぶ。

「ふええ……もみじにいちゃん、たすけてえ。ふえええ……」

柑音も半泣き――いや、ほぼ全泣き。

「え? ああ、大丈夫だよ、ふたりとも。このお兄さんはママのお友だちだから」

「おともだち?」

「ほんと?」

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