御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
喋り方すら普通とは違う。椿兄も柊兄も蓮兄もそのお友だちも、そんな喋り方はしない。大きなお屋敷に住んでいると、自然とこうなるのだろうか。

私は思い切って、尋ねてみることにした。

「コウキさんは、オトナみたいに話しますね……?」

皇樹さんが驚いて目を丸くする。やや間を置いて、彼は突然くすりと笑みをこぼした。

「ごめん。堅苦しかったよね。父さんがお客様の前ではこうやって話せって言うから」

突然、兄たちのような喋り方になった。でも、兄たちよりずっと優しくて丁寧な口調だ。やっぱりとても綺麗だと思った。

「いつも通りでかまわない? 楓――ちゃん?」

「かえで、がいいです」

「じゃあ楓。……楓も『です』なんて使わなくていいよ」

「……うん」

私が頷くと、彼はそれでいいよと安心させるみたいにニコリと笑った。手を引かれ、花盛りの庭園を歩く。

「楓はどの花が好き?」

尋ねられ、咄嗟に目に入ったのは淡いピンク色の薔薇だった。

「ピンクがすき」

「じゃあ、この薔薇を花束にしてもらおう。ちょっとだけここで待っていて」

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