御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
皇樹さんが呼びに行ったのは、園芸用の白い手袋をつけた庭師の女性だった。

「これを花束にしてほしいんだ。彼女にプレゼントするから」

「承知しました。こちらですね?」

女性は腰に下げた革ケースからハサミを取り出し、ピンク色の薔薇を十本程度カットする。

「切っていいの……?」

「うん、そういう用途で育てているから。昔はよく母さんも花束にしたり、お風呂に浮かべたりしていたよ」

そうなんだ、と私は頷く。

私たちは庭園の端にある園芸用の小屋に招かれた。棘を抜いたり、葉を落としたりして、私が持つのにちょうどいいサイズのプチブーケを作ってくれる。

「はい、どうぞ。これからもよろしく」

皇樹さんが花束を私にくれる。ひとつひとつの花はふわふわして軽そうなのに、花束は意外とずっしりしていた。

「ありがとう」

上品で愛らしいピンク色のブーケ。持っているだけで自分が大人になったような、素敵になったような気がして、不思議とうきうきする。

「重たい? 俺が持っていようか?」

「ううん」

なんとなく自分で持っていたくて、ブーケをぎゅっと抱きしめる。

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