御曹司様、あなたの子ではありません！～双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした～
それから私は、皇樹さんに連れられ、屋敷を一周ぐるりと回った。

道が左右に分かれていたり、曲がり角があったり、まるで迷路のよう。こんなお屋敷に住んでいたら、毎日探検ができてわくわくするだろう。

家族のいる客間に戻る途中、私はふと気になっていたことを尋ねる。

「そういえば、コウキくんのお母さんは、一緒にお食事しないの？」

会食の場に皇樹さんとお父様しかいなかったのを不思議に思い尋ねてみたのだが、彼はふと微笑みながら眉を下げた。

「母さんは、俺が楓くらいの歳の頃に亡くなったんだ」

「え……」

幼いけれど、『亡くなった』の意味は知っていた。二度と会えなくなるという意味だ。

お母さんにもう会えない……。それはすごく衝撃的で、悲しい出来事だと思った。

条件反射のように、目から涙がほろりと落ちてくる。

それを見た皇樹さんは「楓……？　どうしたの？」と屈んで、私の顔を覗き込んできた。

「お母さんに、もう会えない？」

無意識に感情移入してしまっていたのだろう。まるで自分のことのように涙が止まらない。

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