御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
私が高校生になる頃には、皇樹さんは誰が見てもパーフェクトで素敵すぎる男性に成長していた。街を歩いているだけで女性たちの視線を集め、繁華街では『モデルにならないか』とスカウトされているところを五回は見た。

「ねえ君、モデルに興味は――って、君かあ」

スカウトのおじさんにすっかり顔を覚えられてしまった皇樹さんは、苦笑しながら「どうも」と挨拶する。

「何度も何度も悪いけど、誘わせてよ。うちは給料もいいし、有名ファッション誌のコネもあって条件いいよ~? 君ならパリコレ狙えるって! どう? 考えてみない?」

どうしても皇樹さんを口説き落としたいらしく粘るけれど、彼は「いえ。モデルはまったく興味ないので」とさらりと断る。

「じゃあ名刺だけでも。気が変わったら連絡してよ」

「変わらないので」

受け取りすら拒むと、おじさんは交渉の矛先を変え、私に話しかけてきた。

「お連れは妹さん? お兄さんがモデルだったら嬉しいよね~、説得してよ!」

私が高校の制服を着ていたせいか、妹に間違われてしまった。しかも――。

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