御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
高校を卒業した私は、服飾系の四年制大学に進学した。家業の紡績会社の役に立てればと思ったのだ。

経営は兄たちに任せるとして、私は販路の拡大など、業務面で役に立ちたい。

進路については皇樹さんにも相談済み。いずれ久道家に嫁ぐことは決まっているけれど、結婚までしばらくは家業を手伝おうと思っている。彼も賛成してくれてホッとした。

もともとファッションやテキスタイルには興味があったので、大学での専門的な勉学は楽しい。そして大学生らしいキャンパスライフも、それなりに楽しんでいた。



「ねえねえ。楓って彼氏いるの?」

放課後、作業室でいつも一緒になる同級生――瀬那(せな)に尋ねられた。

瀬那は服飾の勉強が大好き。熱心に講義を聞いて、終わると講師のもとへ質問に飛んでいく。そんな彼女の姿勢が気になり、声をかけたら意気投合した。

「彼氏っていうか許嫁がいるよ」

「えっ……いいなずけって……ええ!? そんなもの現代に存在するの!?」

そう驚く彼女は、交際と破局を繰り返しているそう。私にはそちらの方がよほど現実とは思えないけれど。
< 51 / 255 >

この作品をシェア

pagetop