御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
唯一の救いは、彼が定期的に連絡をくれること。大学一年も終わりに差しかかる頃、テーマパークに誘われた。

「あ、それ、かわいい」

そう言って私の頭に乗せてくれたのは、猫のカチューシャだ。このテーマパークのイメージキャラクター、リッキーの耳をモチーフにしている。

「似合ってる」

屈託のない笑みで私を覗き込む皇樹さん。にこにこしながら、さりげなく私の手を取った。

「さ、行こうか。もうすぐパレードが始まる」

手を繋いで遊園地デート――私のしたいことを先回りするあたり、さすがだなと思う。彼は気遣いと優しさの化身だ。

「リッキーがよく見える穴場スポットがあるんだって」

「詳しいんですね」

「大学にパレードマニアの後輩がいるんだ。いろいろ教えてもらったよ」

「後輩、ですか」

その方は男の子ですか? たぶんパレードが好きなくらいだから女の子ですよね? ……そう聞きたいのをぐっとこらえる。

しかし、私の心を読んだのか、あるいはたまたまか。

「その子、彼女のためにいろいろ調べてたんだけど、自分の方がのめり込んじゃったみたいで」

そんな補足が入り、ホッと胸を撫で下ろす。どうやら男の子だったみたいだ。

< 54 / 255 >

この作品をシェア

pagetop