御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「ラグビー部で結構いいガタイしてて、髭生やしてプロテイン飲んでるのに、リッキーのペンケース持ってたときは笑ったなあ」

「わあ……なんだか、かわいい方ですね」

「えっ……楓、そういうのが好き? ギャップ萌え、的な……?」

へ? と首を傾げる。

よくわからないまま「そうですね……いいんじゃないでしょうか」と適当に返事をしたら、考え込むように顎に手を当てる彼。 

やがてパレードが始まり、私たちは高台にある穴場スポットから鑑賞した。

穴場とはいえ、人は多い。ちょっぴり混雑気味の満員電車くらいの人口密度。彼は私を守るようにうしろに立って、お腹に腕を回す。

「大丈夫? 苦しくない?」

「は、はい」

背中から抱きしめられ、正直リッキーどころじゃない。

でも、彼は飄々とした顔でパレードを眺めているし、お腹に回る腕にいやらしさは微塵も感じられないし、ドキドキしているのは私だけのようだ。

ちょっとくらい、意識してくれてもいいのに。そんなやるせなさが募る。

パレードが終わって、私たちはお目当てのアトラクションに向かって歩き出した。

ふと道の途中で出店を発見して足を止める。

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