御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「これ……」

思わず手に取ったのはペアのチャーム。ゴールドとシルバーのプレートにはリッキーとその恋人・リニーちゃんの横顔が描かれていて、プレートをくっつけるとキスをするというロマンティックなデザインだ。

「かわいいね。楓はどっちがいい?」

ペアで持つ前提なのが嬉しくて、頬が緩む。

「私がリニーちゃんを持つ方が自然なんじゃないでしょうか」

「でも楓はリッキーが好きなんだろ? 悩ましいね」

皇樹さんはチャームのお会計を済ませると、「じゃあ、こっち」と言って、私にゴールドのリッキーを手渡した。

「俺はこのリニーちゃんを楓だと思って大事にするから」

そう言ってシルバーのリニーちゃんを掲げ、下からちゅっと唇を当てる。

リニーちゃんを私だと思って、って……。

頬が熱くなると同時に、羨ましい、できればリニーちゃんではなく私に、とそんなやましいことを考えてしまった。

「じゃあ私は、このリッキーを皇樹さんだと思うことにします」

ぎゅっと胸もとに抱きしめて宣言する。皇樹さんがずっとそばにいてくれるのだと思うと嬉しい。

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