御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「それに俺がリニーちゃんを持っていた方が、楓に『かわいい』って言ってもらえそうだし?」

先ほどのラグビー部の後輩さんの話を引き合いに出してか、にやりと笑う。

「『かわいい』って言われたかったんですか?」

思わず尋ね返して見ると、彼はちょっぴり頬を膨らませて「うーん、そういうわけじゃないんだけど」と不服そうに顔を近づけてきた。

「悔しいだろ? 楓の『かわいい』がほかの男に取られたら」

おでこに彼の唇が触れる。予期せず響いたリップ音に頭の中が真っ白になった。

かと思えば唐突に抱きしめられ、視界が彼の胸もとで埋まる。

「『かわいい』だけじゃなくて、褒め言葉全部、俺に向けてほしい。楓が別の男を見てたら嫌だ」

「それって……」

突如表出した彼の嫉妬めいた激情に動悸が止まらない。

「わ、私も言われたい!」

気がつけば本音が漏れていた。彼の動きがぴたっと止まる。

「いつも『かわいい』って言ってると思うけど」

「そうじゃなくて」

私も褒め言葉全部欲しい。ほかの女性に目移りされたら嫌だ。

普段は恥ずかしくて聞けないけれど、今なら正直に口にできそうな気がした。

「……皇樹さんは私を女性として見てくれてますか?」

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