御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
背後から抱き留められる。彼の息は荒く、呼吸とともに体が上下していた。

背中からふわりと伝わってくる彼の熱気。私以上に必死になって走ってきてくれたのだと気づく。

「話をしに来てくれたんじゃないのか?」

もう二度と離すまいとでもいうように、私をうしろからしっかりと抱きすくめ、呼吸の合間に尋ねてくる。

「俺も楓と話さなきゃと思ってた……話したかった」

その誠実な声を聞いていたら、向き合わなきゃ、自然とそんな心構えができた。

私が体の力を抜くと、逃げるつもりがないとわかったのか、彼はゆっくりと腕を離した。代わりに正面に回り込んで両手をきゅっと握る。

「芙芝紡績の提携の話、父伝てに聞いたよ」

うつむいたまま答えられずにいると、今度は優しく抱き寄せられた。

「大変だったね。つらい思いをしただろう」

彼らしい優しさに胸が痛くなる。同時に、その先の言葉を聞くのが怖くなった。

「久道家にできることはないかと提案してみたんだが、楓のお父さんはもう覚悟を決めたからと」

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