御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
そう言って、私の鼻先にちゅっと、なだめるようなキスをする。

『愛し合ってるんだから』――その言葉に頭が真っ白になって、思わず涙も引っ込んだ。

「でも皇樹さん、私になにもしてくれなくて。キス以上のことは、なにも……」

「当然だろ、楓はまだ十代なんだから。軽々しく手を出さないようにしていたのは、俺のけじめだ。それに――」

彼がふいっと目を逸らす。どこか気恥ずかしそうな表情が、少ない明かりの中でもはっきりとわかった。

「キス以上のことをして、歯止めが利かなくなったらまずいだろう。結婚前に襲ってしまいましたなんて……楓のお父さんになんて説明したらいいか」

彼は口もとを押さえて、困惑を押しころしているように見えた。

いつも悠然と私をエスコートする彼とは思えないくらい、声から動揺がありありとうかがえる。

わっと頬が熱くなって、ようやく自覚した。皇樹さんがこんなにも、私を好きでいてくれたことを。

「あの……いつから? いつから私をそういうふうに、見てくれてたんですか?」

興奮して、思わず彼を問い詰めてしまう。

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