御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
彼はがっくりと頭をもたげると「いつって……そんなことまで言わせるのか?」とまいったようにこちらを見つめた。

「楓は最初から俺にとって特別な子だったよ。でも、そうだな。もっと特別になりたいって気づいたのは、楓が大学生になった頃かな」

姿勢は正したものの、まだどこか気恥ずかしいのか、照れたように頬をかいている。

「楓が高校生でいる間は、そういう目で見ないようにしてた。楓を汚したくないって思ったんだ。でも楓が十八になって、高校を卒業して、成人になったって自覚したら……だんだん……その、俺だけのものにしたいって、思うようになってきて」

つまり、独占欲ってこと? じっと先の言葉を待っていると、彼がギブアップといわんばかりに手を上げた。

「もうこれ以上は、勘弁してくれ」

「言ってください! じゃないと私、不安が拭えません」

私だって正直に聞くのは恥ずかしいけれど、もやもやした気持ちのまま帰れない。

彼はため息交じりに白状する。

「いろいろと、したいって思うようになって……。だから、二十歳になるまでは絶対に手を出さないようにって、心に誓いを立ててた」

< 71 / 158 >

この作品をシェア

pagetop