御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
あまりの幸せにとろけて意識が途切れそうになった時、ようやく彼が唇を離して息をさせてくれた。

彼も息をしていなかったのか、呼吸が荒くなっている。……いや、興奮している?

「こういうこと。それから、もっと先」

熱っぽい額を私につけて、掠れた声を吐き出す。

「体もひとつにして、独占してやりたいって思ってた」

艶めいた声に、脳髄が甘く痺れた。軽い眩暈を覚えたあと、思わず漏れ出た本音は――。

「よかった……」

安堵と喜び。求めていたのは私だけじゃなかった。彼も私を独占したいと思ってくれていた。

「全然よくないって」

彼ががっくりと項垂れて、私の危機感のなさを嘆く。

「……二十歳になったら、覚悟して。楓の全部、手に入れるから」

ふと見れば、鋭い雄の眼差し。初めて見る情熱的な目にドキリとして心臓が止まりそうになる。

今さらになって、それがどういうことか理解して、羞恥心が湧き上がってくる。

皇樹さんに私のすべてをさらけ出さなければならないのだ。

「……覚悟、します」

目を伏せたまま、そう答えるのがやっとだった。




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