御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「さ、乗って。少しだけドライブして食事に行こう。今日はあの浜辺が見える海沿いのレストランを予約したんだ」

そう言って彼は助手席の花束をうしろに移動しようとする。

「それ、しばらく抱いていてもいいですか?」

「かまわないけど……邪魔じゃない?」

「堪能したくて」

花束を抱いて助手席に座ると、ふんわりとした香りに包まれて心が安らいだ。しかし、彼からは花で埋まっているように見えたらしく、「前、見えてる?」と苦笑された。

「ちゃんと見えてますよ。嬉しいです。花、好きだから」

そういえば初めて会ったあの日も薔薇の花束をもらったっけ。思い出して嬉しくなる。

「お祝いにジュエリーを贈ろうと思ったんだけど、そういうのは一緒に選んだ方がいいと思って。楓をデートに誘い出す口実にもなるし」

彼が運転席に乗り込み、甘い笑みを浮かべる。「ありがとうございます」とお礼を言いながらも、ふと気づく。

「って、私、この前もネックレスをもらったばかりですよ?」

今胸もとに輝いている、小さなダイヤがふたつ連なったネックレスは、ホワイトデーのプレゼント。

ちなみに、その前の月はバレンタインデーだからと言って高級チョコとブランドバッグをもらった。

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