御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「帰りを待っています。だって、皇樹さんが夢を叶えるためだから。私が応援しないわけないじゃありませんか」

もちろん寂しいけれど、彼を困らせるような女より、彼を許し包み込む女でいたい。

私だって、自分のことばかり考えていた大学生の頃よりは少しだけ成長している。人を思いやれる大人の女に。

すると、彼は真剣な顔をして私の手を握った。

「楓。俺と一緒に来てくれないか。君さえよければ、この先もずっと一緒に」

「え……」

驚いて目を見開く。それってもしかして、プロポーズ?

「私、その……」

すごく嬉しくて言葉が出ない。彼と一緒になりたくて、今日までずっと走り続けて来たのだ。

けれど――。

「……嬉しいんですが。その……」

就職したのは、彼に釣り合う立派な女性になるため。

けれど私は、憧れのアパレルメーカーに就職はしたものの、まだなにも為せていない。胸を張って彼の隣に立てる女性になれていない。

会社ではまだ半人前、上司や先輩たちの手伝いがメインタスクだ。

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