御曹司様、あなたの子ではありません！～双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした～

先日、ようやく企画を出すチャンスをもらえたけれど、詰めの甘さからNGが出た。最初はそれが普通だと上司はフォローしてくれたけれど、実力不足を痛感したばかりである。

悩んでいたら、彼の手がスッと引っ込んだ。驚いて顔を上げると、そこにあったのはすべてを見通すような柔らかい眼差し。

「わかってる。楓は今、志半ばなんだよな」

じわりと目に涙がにじんで、頷いた瞬間にこぼれ落ちた。

彼のそばにいたい。でも、今仕事を辞めたところで、胸を張って彼の隣に立てない気がする。

「楓は頑固だもんな。やると決めたら、やらなきゃ気が済まないんだろ？」

皇樹さんの方が私をよく理解してくれていることに、余計に涙が出る。

「……少し、考えさせてください」

涙を押しころし、そう答えるので精一杯だった。



皇樹さんのイギリス行きが本格化し、渡英する三カ月前。

せめてイギリスに旅立つ前にたくさん思い出を作ろうと、彼は海の見えるスイートルームに誘ってくれたのだが、私はというと、寂しさが込み上げてきて涙が止まらなくなってしまった。

ソファに座ったまま、ほろほろと泣き続ける私を、皇樹さんは困った顔で見守っている。