御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
私はこくりと頷いて、彼の胸に飛び込む。私を抱きしめる腕は、心配などいらない、愛している、そう言ってくれているかのようだった。



三カ月後。皇樹さんは私にとびきり大きなダイヤの婚約指輪で愛を誓い、イギリスに渡った。

それから間もなくのことだ。仕事帰り、オフィスビル一階のエントランスで私を待っていたのは、皇樹さんより少しだけ貫禄の増した秀麗な紳士だった。

彼は私を見つけると、凛とした所作で尋ねてきた。

「失礼。芙芝楓さんでよろしいですか?」

その気品が皇樹さんの纏うそれと似ていて、すぐに関係者だと理解する。

「仕事場まで押しかけるような真似をして申し訳ありません。皇樹があなたとの結婚を考えているとうかがって」

すらりと背が高いが、皇樹さん以上に細く華奢。上質な高級スーツを纏い、パーマがかった黒髪は若々しく、お洒落でいて清潔感がある。

声は低く伸びやかで、ゆったりとした響きから余裕と威厳を感じ取る。

年齢は三十代後半くらいだろうか。皇樹さんがあと十年、歳を重ねれば、もっと似るかもしれない。

「失礼ですが、どちら様でしょう?」

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