御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「仕事に集中してください。連絡もいりませんから。私を思い出して仕事の妨げになるくらいなら、いっそ思い出してくれなくていいです」

彼が幼い頃から父親の跡を継ぐために努力してきたのを知っている。だから、その邪魔は絶対にしたくない。

「きっと、皇樹さんにとって大事な一年になると思うから」

彼が立派な経営者になれるか、父の跡を継いで大企業のトップに立てるか、この一年にかかっている。これまでの努力が報われるように、全力で頑張ってきてほしい。

私の言葉から決意を感じ取ったのか、彼は真っ直ぐにこちらを見て「わかった」と答えた。

「その代わり、すべてを終えて帰国したらもう離さない。二度と」

冷静さの奥に情熱を隠しながら、じっと私を見つめて宣言する。

その言葉が聞ければ、寂しくてもこれからの一年を乗り越えられる気がした。私はこくりと頷く。

「皇樹さんが帰ってくるのを待っています。ずっと、ずっと待っていますから」

彼が誓いのキスをくれる。

ホテルをチェックアウトして、その足で空港へ。あっという間に別れの時間がやってきた。

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