御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「納得しない親族も多いでしょう。あなたも皇樹も、肩身の狭い思いをする。ああ、もしも子どもを授かるようなことがあれば、いっそうかわいそうだ……。祝福してもらえず、疎まれるだけでは」

額に手を当て、わざとらしく嘆いてみせる。

私だけではなく皇樹さんや、いつか生まれてくる子どもまでみじめと言われては、もうなにも言い返せない。

洸次郎さんはおもむろに立ち上がり、その場に膝をつくと、あろうことか頭を下げ、額を床にすりつけた。

「こ、洸次郎さん!?」

「どうかお願いです。皇樹のことはあきらめてもらえませんか。政略結婚なしに、皇樹が久道グループ代表の座を得ることはありえません。グループ存続の危機なのです」

慌てて私も椅子から飛び降り、彼の横に膝をつく。

「やめてください……! こんな……顔を、あげてください!」

頭を地につけてまで頼み込んでくる洸次郎さんに「いやです」と拒むなんてできなかった。




少し考えさせてください、そう言って一週間の猶予をもらった私は、ひとりで悩み続けていた。

< 95 / 255 >

この作品をシェア

pagetop