御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
『皇樹さんが夢を叶えるためだから』――彼がイギリスに行く前、私はなにがあっても応援すると誓ったのだ。

私が皇樹さんのそばにいても、足を引っ張るだけだとしたら。せめて邪魔だけはしたくない。

それが答えだった。

「ごめんなさい。皇樹さん」

私は意を決して、洸次郎さんに連絡を取った。



皇樹さんに繋がるものはすべて捨てた。連絡先も、電話番号も。実家を出て会社すら辞めて、新たな人生を踏み出した。

洸次郎さんは、いざ皇樹さんが私を探そうとしても手がかりが見つからないように、手を回してくれたようだった。転職に関しても有名なアパレルメーカーを斡旋してくれた。

しかし、姿を消す決意をして二カ月が経ったとき、衝撃の事実が発覚する。

私のお腹に、皇樹さんとの子どもが宿っていたのだ。

しかも、私と同じ双子だなんて運命を感じてしまう。これを彼が聞いたら、喜んでくれるような気がした。

別れるならば堕ろさなければならない。でも――産ませてほしい。せっかく授かった命だ。

ここでふたつの命とさよならしてしまったら、一生後悔する気がした。


< 97 / 255 >

この作品をシェア

pagetop