御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「どうか一度だけ。一度だけ連絡を取らせてもらえませんか!」

しかし、返ってきた言葉に血は通っていなかった。

『どうにもならない政略結婚だったのです。ようやく皇樹は受け入れ、正しい人生を歩み始めてくれました。あなたが本当に皇樹を愛しているならば、どうか邪魔をしないであげてほしい』

取りつく島もなくそう告げられ、そのままぷつりと電話は切れる。リダイヤルしても――ダメだ。電話を取ってもらえない。

なんとかして、もう一度連絡を取ならければ。皇樹さんとの間に子どもができたと伝えれば、必ず話を聞いてくれるはず!

そこまで思い立ち名刺を手にしたところで、ハッとする。

お腹に子どもがいると洸次郎さんに知られたらどうなるだろう。

堕ろせと指示されるかもしれない。良家との婚約、延いては久道グループの未来を考えれば、この子たちの存在は邪魔になる。

『ああ、もしも子どもを授かるようなことがあれば、いっそうかわいそうだ……』――かつての洸次郎さんの言葉が脳裏をよぎる。

「……隠さなきゃ」

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