告白

堕落

堕落

康二は、診断書が決定打となり、精神手帳二級と障害年金三級の認定を受けた。さらに、会社側が彼の病気を認めたことで、ボーナス、傷病手当金、失業保険といった金銭的な社会保障を手に入れた。しかし、その代償は大きかった。病気の影響で仕事への就職が停滞し、転職先もなかなか見つからない。気力が奪われ、次第に毎日の生活にも支障が出始めた。暇な時間が増え、康二は日々の目的を見失っていった。そんな中、瑠美の非番の日には、彼女とパチンコに興じるようになった。パチンコに逃避することで、現実の不安や孤独感から一時的に解放される瞬間を求めたのだ。次第に、康二はパチンコを繰り返す毎日を送り、少しずつ堕落していった。
「これでいいのか?」という問いが、心の中で何度も浮かんでは消える。だが、手軽に得られる一時の快楽が、彼の思考を鈍らせ、前に進む意欲を奪い取っていった。そして、康二は自分自身をもてあそぶ日々に浸かっていくのだった。康二は、パチンコの快楽に明け暮れる日々を続け、気がつけば三年という歳月が過ぎ去っていた。毎日同じような生活が続く中で、ふと現実に戻った瞬間、彼の心に不安が押し寄せてきた。明日からは、社会保障として毎月支給される障害年金がわずか五万円。そのうちの二万円は国民年金と健康保険に消えていく。手元に残るお金は限られており、生活費を捻出するのも厳しい状況だった。
「このままじゃ借金生活に陥るかもしれない…」
康二は、徐々に自分が追い込まれていることに気づき始めた。これまでパチンコに逃げ込むことで現実から目を背けてきたが、その代償が大きくなりつつあった。借金生活への恐怖や、このまま何もしなければ未来がさらに暗くなるという危機感が、彼の心を揺さぶっていた。
「もう、この生活を続けるわけにはいかない…」
康二は自分にそう言い聞かせるが、長い間続けてきた快楽と怠惰な生活から抜け出すのは容易ではなかった。
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