永久指名をしてあげる
『ユウ、あんたがこの街去って何年?』
「2年くらいかなー…。」
『ふーん、ま。でもまだ”鈍ってない”わよね?』
「ー…何が?」
わざとらしく視線を逸らすわたし。
この人の目は見ちゃいけない。
少なくとも今わ。と、わたしの内なる部分が告げている。
『あそこの卓のホスト。
あんたから見て売れてる?売れてない?』
指さす先にはホストとアフターであろう女の子が居た。
「急に何ー…?」
『いいから、ね?』
促されるまま、気づかれないように彼らの方を見る。
ラフな格好の金髪の男の子。
王道のイケメンで万人受けしそうな顔だち。
今どきのって感じの若い子
『どう?』
「ん、後者かな」
『売れてないってこと?』
「うん」
その瞬間にマスターは嬉しそうににっこり笑った。
『どうしてそう思ったの?』
この人はどこまでもマイペースなんだと痛感した。