闇の龍神様と癒しの神子
結婚式を迎える日はすでに4月になっていた。

この島にも桜が咲き誇っている。

(私はまだ自分に自信がない。もっと強くならなくちゃね!)
榛名の今の目標だ。

葵に化粧やウェディングドレスを着るのを手伝ってもらった。

自分の花嫁の姿になんだかソワソワしてきた。
十六夜と結婚する自分が信じられない。

「おまたせしました」
既に待っていた十六夜の元へ行く。

『神子姿も美しかったがドレス姿も美しいな。癒やしの女神だな』
「ありがとうございます」

榛名のドレスはシンプルなウェディングドレスだ。派手さはないが清楚さがある。頭にはティアラを飾った。幼少期は女の子なのでお姫様に憧れていた。

十六夜は白のタキシードに水色のスカーフ。胸元には2頭の鹿と鳥のアクセサリーが付いていた。


『夜でよかったのか?』
「はい。今日は満月ですから月の光で輝く十六夜と結婚式をしたかったんです」

式は誓いの言葉→指輪の交換→誓いのキスと簡単だったが幸せな時間だった。


誓いのキスをした後、榛名は思わず泣いてしまった。
「十六夜様、私と出会ってくれて私を神子と番に選んでくださって本当にありがとうございます」

『俺の方こそ闇を祓い、数百年の淋しさから俺に無限の愛を注ぎ救ってくれたんだ。ありがとう、榛名。これから永久に俺のそばにいてくれ』

「はいっ!」

榛名と十六夜はキスを交わす。


桜が舞い曇りのない満月が祝ってくれるよう。


結婚式をした日は榛名の19歳の誕生日。


十六夜と過ごした日々とこれからの未来の日々を大切にしたいと願った日を榛名は忘れないだろう。



      【完】
< 105 / 110 >

この作品をシェア

pagetop