闇の龍神様と癒しの神子
一ノ章
パンッ!!


「え?」



一瞬、何が起きたのかわからなかった。


「きゃあ!お姉様が私に暴力を振るいましたわ!」


(何言ってるの……)



ドタドタと家族が集まる

その中に男…アヤカシがいた。


「俺様の大事な番《つがい》に何しやがるんだ!」


「くぅ……かはっ!」


バシッ


アヤカシに首を絞められ壁に叩きつかれた



「大事な子に何するの!」
「まーた榛名が雪愛に嫉妬してるのか」
「早くあの女殺そうぜ」
「え〜私の大事なお姉様だから駄目だもん」
「まぁっ!雪愛は優しい子ね〜自慢の娘だわ」


そんな話しを息苦しいそうに聞いていた榛名


雪愛は榛名を見ながらニヤリと嘲笑う。


榛名(はるな)18歳、霊力の高い者が集めらた東丿島に住む、本家である「神代家」の分家の一つで島ではそこそこ地位のある家柄の長女だ。
本名は「神楽榛名(かぐらはるな)」だが苗字を使う事は許されなかった。



この島に住む住人は強弱の差はあるものの霊力がある。現在の日本では4つの島に住む者たち以外は霊力を持っておらず、血や霊力を絶やさぬように島からは出られないので絆やら団結力が強い。

理由はわからないが長女は霊力が強く産まれるもので、強い子孫を欲しがるアヤカシは長女を娶り、番になるのが掟だ。



しかし榛名には番になるアヤカシがいない。


なぜなら榛名は霊力がなかった。


霊力は産まれてすぐの強い子もいるが、産まれた時は霊力0でも8歳の誕生日までには霊力が備わる。

榛名も霊力0で産まれ8歳にもなっても変わらなかった。


いままで霊力のない子供がいるなんて…と、そんな榛名を忌み子だと島中で迫害した。



榛名が8歳の誕生日に霊力がないとわかった途端、優しかった家族は豹変し、榛名を牢屋に閉じ込め、食事は犬用の餌皿で箸すら与えらず、榛名は生きるために口や手を使って食べていた。

用があれば牢屋から出されては奴隷のように扱われ、島を歩けば罵声や石を投げらるなどの仕打ちを受け、榛名は傷だらけで服はボロボロ、泣こうが喚こうが誰も気をとめることはしない。
忌み子の榛名には味方が一人もいなかった。


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