闇の龍神様と癒しの神子
四ノ章
いつものように十六夜(龍神)の頭に乗り、角を掴む。

龍神の姿の十六夜と頭に乗っている榛名の姿は消し誰にも見えないようにしている。


今回も東丿島の島民には気づかれずにある場所を目指した。

東丿島の唯一の神社で十六夜と初代神子の子孫である神代家が管理している【青龍神社】だ。


「ここは青龍神社ですか…」

『ああ。本来は龍神を祀られている神聖な場所だな。…俺はこの島を捨てたからなんの意味もご利益なんかないな』

十六夜は真っ直ぐ前をみるだけで榛名を見ようとしない。

「十六夜様、私がお荷物をお持ちしますよ」

『…これは大事な物だからいらん』

それ以降、全く話さなくなった。

(十六夜様どうしたのかな……役立たずの私を東丿島に返そうとかかな…)

榛名の不安は積もる一方だ。




『ここだ。ここは初代神子…つまり八重の墓だ』

「八重さんの……」

八重の墓は小さなお墓だった。
小さい墓だが管理も行き届いており、花も添えられていた。

『榛名…お前に聞いて欲しい。八重の話を、俺がこの東丿島を捨て、こんな闇に侵食された理由をな』

「はい…」


前から気になっていた十六夜の話。


お墓近くの大きな石に腰をかけた。



< 43 / 110 >

この作品をシェア

pagetop