闇の龍神様と癒しの神子
「今…なんと仰ました」
『脱げ』
「ここでですか?」
『安心しろ、誰も見てない』
(そういう意味じゃないんだけど…)
「うぅ…神子服、どう着るかわからないので着せてください」
『わかった』
(外は恥ずかしい〜)
十六夜が突然「神子服着てくれ」と言ってきた。荷物は神子服が入っていたようで、神子として受け入れてくれるならば着せたいと思っていたらしい。今じゃなくてもいいんじゃ…と思う反面、十六夜の顔が期待に満ちていたので断れなかった。
「わぁ。可愛い」
『そうだろう。俺の力で仕立てやったんだからな』
神子服は神社の巫女さん風とはちょっと違い、十六夜のような和装と洋装が混じったような水色で桜の模様や桜の装飾品が可愛いくて春のようだ。
「なんだか十六夜様の神子になった実感が湧きますね。身が引き締まります」
『神子になったからと言って何も変わらない。今までどおり役目は果たさせる』
「はい」
『…俺がお前の神子姿をみたいと我儘言ってすまなかったな。榛名もこれからは沢山我儘や甘えていいんだからな』
「はい。…じゃあ私の我儘聞いていただけますか?」
榛名は着ていた服から小さな小袋を十六夜に渡した
『なんだ?開けていいのか?』
出てきたのは六角柱の黒い石のペンダントだ。
「これはモリオンという黒曜石です。お店の説明によると魔除けの石で持ち主を邪気や悪念、不安や恐怖などマイナスエネルギーから守ってくれるそうです!」
『ん?お前の神通力が入っているようだが…』
「はい。石の効果と私の神通力込めたら十六夜様の闇が少しでも消えてくればと思いまして……ば、バレンタインに感謝の気持ちを贈ろうって…」
気に入ってくれるか自信がなくなってしまう榛名
『ありがとう、付けてくれないか』
「はい。…あ、十六夜様のお着物の色と合いませんでした!やっぱり付けないでいいです!」
慌てて外そうとする榛名に十六夜は止める
『榛名の気持ちだ。合う合わないはどうでもいい。大事にする』
2人で微笑み合った