闇の龍神様と癒しの神子
✱✱✱Side それぞれの思惑と… 冬史郎編 ✱✱✱

榛名と龍神が帰った後、顔では平然を装っていたが、心の中では笑いが止まらなかった。


冬史郎は島の政治家のような仕事をしている。

初めて兄になった日。初めての妹・榛名が生まれて可愛がった。雪愛は我儘で好きではなかったが両親や島の住人が雪愛を甘やかしているからオレも仕方なく甘やかし可愛がった。

「おにーたんだいしゅきー!はるな、おにーたんとけっこんしゅるのー」と言って甘える榛名は可愛くて仕方なかったほどに。

年齢を重ねると天狗のアヤカシの番である雪愛の価値がはっきり解ると雪愛が可愛くなってきた。
それでも榛名を可愛さは変わらなかった。
長女の榛名には8歳まではそれなりに上位のアヤカシの番になると期待していた。2人も番を出せば神楽家の自慢になるから。
だから霊力がないと知り榛名への気持ちが冷め、オレの期待を裏切ったと軽蔑した。


榛名を虐めるとスッキリした。
お固い島の政治家のような仕事なストレスが溜まるから発散させていた。

年々、楽しくて楽しくてクセになるほどだ。

榛名はオレを裏切ったんだから罰を受けて当たり前。



榛名が生贄になり、いなくなるとストレスが溜まる。
発散させたい。



雪愛から光希という神代家の長女を虐めろと言われた時はゾクゾクし大興奮した。
なんせ本来なら手を出せない相手だから。








そして生贄に行ったはずの榛名が龍神を連れて東丿島へ訪れた。


嫌悪感を募らせたが、龍神の口から榛名が神子や番だと聞かさるも信じられなかった。

神通力を見てその力に魅了された。



なんて美しいんだろうと。






雪愛は馬鹿だ。
両親も榛名が神子と知り、あからさまに態度が変わった。利用するならこっちだ。
翼も出し抜き利用してやる





神代家ではない、オレが支配する島になる。


天狗は「雪愛の兄」なんて無価値だ。


これからは 


「龍神の神子の兄」「榛名の兄」だ



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