闇の龍神様と癒しの神子
✱✱✱Side それぞれの思惑と… 翼編 ✱✱✱

翼はアヤカシの世界、自分の故郷に戻った。


江戸時代のような明治大正のような現代や洋風と色んな時代が混じったような不思議な世界だ。


「そうか」
天狗の里で天狗の当主である父に報告するも帰ってきた言葉は意外だった。
もっと喜ぶと思ったのにと翼は唖然とした。


「なぁ親父、俺あの女欲しい」

「青龍様の番だぞ。相手が悪い」

「奪えばいい。あの女から俺のとこに越させればいいんだ」

「雪愛はどうするんだ?その姉は霊力がないんだから妻としては役不足だろ」

「雪愛のことは愛してる。だから側室にでもしてやるんだ。あの神通力…あの力を手に入れれば天狗の一族はきっと今よりずっと権力が上がる」

アヤカシは人間同様神通力を感じられないのだが神レベルの凄まじく強い神通力なら最下位のアヤカシでも感じられる。
榛名がまだ生贄になる前は神通力が弱いのもあるが、雪愛しか目に入っておらず気づけなかった。

生贄に行った後、街で会った時も見下して気づかず。

今日、榛名が戻って来た時は龍神の力で気づかず、榛名が神通力を使うのを目の当たりにして初めて凄まじい力にやっと気づいた。


あの女はどんな宝石や宝よりも価値がある…と。



「わかった。西ノ島の時のような失敗はもうできない…」
「西ノ島?」

「先祖が色々とな…今は関係ないからいい。少し準備に時間はかかるぞ」

「頼みます」

頭を下げた。


翼は頭を下げながら笑っていた
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