闇の龍神様と癒しの神子
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気を失った榛名はハッと目を覚ます。

「十六夜様!!」

「あれ?意外と早く目覚めたのね」

目を向けると雪愛、冬史郎、両親がいた。

「雪愛…」

「ハァ?雪愛様だろ?十六夜様の神子になったからって調子に乗んなよ、忌み子が!…ま、いいわ〜今は許してあ・げ・る。神子は私がなるんだから慈悲深くなくちゃね♪」

「……何を…言って……!」

榛名は自分の状況と周りを確認した。

手と足は鎖で縛られ、首には鉄の首輪が付けらていて身動きができない。

場所はアヤカシ洞窟のようだ。
アヤカシはアヤカシの世界にある亜空間のような次元の穴を通り、島にやってくるので「アヤカシ洞窟」と東丿島では呼んでいる。
他の島や街にもあるようでアヤカシがやってくる時だけ開き、普段は普通の洞窟だ


「十六夜様はどこ?翼に命令したのは雪愛ね?」
愛しい十六夜を刺した相手に翼様なんて呼ぶ必要はない。


「命令なんて人聞きが悪いわね。お願いよ、お願い!私の十六夜様は翼様が大人しくさせてるわ。傷ついた十六夜様を私が治してあげるの〜だから返してくれない?榛名は私の命令を聞く良い子だもんね〜」

「そんなこと無理よ」
榛名の神通力は付与は出来るが神通力を転移することはできない。

「このぉ!泥棒!」
雪愛が鞭で叩きつけようとした時、冬史郎がとめた。
納得していない雪愛を抑える

「待てって。なぁ榛名、勘違いしてないか?今までお前を牢屋に閉じこめたり手伝いさせてたのはな、全て龍神様のためだ。神子になるお前を特別室で神子になるための教育だったんだよ」

優しい笑顔を見せる冬史郎に榛名は困惑した。
冬史郎だけじゃない、両親もだ。

「私たちは神の子だと知ってたわ〜」
「そうだな。厳しくしすぎて嫌いになっちゃったか?お互い誤解が解けたんだ、やり直そうじゃないか」

「………」

「そうだ、家族としてやり直そう」
「家族だもの許してくれるわよね」
「十六夜様も家に住んでいただこうな!」

雪愛は忌み子を家族になんて…と思ったが冬史郎に「神通力を返してもらいたいなら一時的に捕まえる必要がある」と促され仕方なく黙っている

「…嫌よ」

「ん〜?なんて言ったのかな〜お兄ちゃん聞こえなかったな〜」
笑顔ながら榛名に圧力をかける冬史郎

榛名は雪愛たちを強く睨みつけた

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