闇の龍神様と癒しの神子
取り残された雪愛たちだが、雪愛は翼に怒りを感じた。
「十六夜様が消えたら意味ないのに余計なことして…!天狗ごとき無価値なのよ!私は十六夜様の神子よ!!」
「まぁまぁ。龍神を探して生きてるなら保護しよう。神通力が手に入るまで我慢するしかない」
「…わかってるわよ!」

雪愛は離れている榛名を呼び寄せなければと翼を利用し「神通力を返してもらいたいが十六夜を一時的に隔離して欲しい」とお願いをした。

榛名を家族として入れようとするのは気にくわないが味方は多い方がいいと冬史郎と両親にも協力させた。
冬史郎も榛名と十六夜を隔離させ榛名を説得させたいゆえ雪愛と翼を利用したいので合意した。

雪愛としては榛名から神通力を返してもらい、剣で傷ついた十六夜を治し神子になった暁には翼を捨てる予定だった。しつこいなら十六夜に痛めつけてもらえばと。

…だが計画は思わぬ方向に行ってしまった。
翼は雪愛が十六夜の方に目が向いてることに気づき、嫉妬してしまい十六夜を消したのだ。
雪愛にとって誤算である。
そして冬史郎にとっても榛名がアヤカシの世界に連れていかれたら困るのだ。

自分の思い通りにならないと不機嫌になる雪愛はイライラを募らせながらも冬史郎と両親に宥《なだ》められつつ、十六夜を探すことにした。






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アヤカシの世界に連れていかれた榛名は天狗の当主らが住む屋敷のある場所に連れていかれた。

重甲に作られた鉄の金庫だ。ここには神龍丿剣が厳重に保管されていた。その場所に榛名を入れ閉じ込めた。

「よくやったぞ。」
「親父…これで雪愛が神子の力が手に入るのか?…オレとしては自分の番が神子になってくれれば最高だが、成らずとも側室にすればいいだけだがな」

翼は雪愛に「私が神通力を与えらるはずだった!榛名に盗まれた」と言われ、雪愛は嘘をつかない素直な純真な番だと疑わないほど溺愛していたので、信じた。ただ十六夜に目を向けたのは気にいらなかったが。


「目覚めたら先に調べなくてはな。雪愛が神子の力を手に入れるためだ。側室にするのは後でよかろう」
天狗の当主としては癒しの力を調べ、永遠の命を手に入れるのが最優先。


逃げられないように、もし十六夜が来ても神通力が感じ取れないように慎重に警戒しながらロックを掛けた。



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