闇の龍神様と癒しの神子
「ハルナ様!?」

「できるのかい?」

「はい。治す代わりに私たちを見なかった事にしてください。ついでに東丿島に戻る最短ルートを教えてください!」

「わかった、必ず約束は守る。頼むよ…」

榛名はお婆さんの手を取り、治癒の力を使う。
症状が酷いので数分かかる

ふぅ〜と息を吐き顔を上げると驚いた。榛名だけではなくムクも。

白髪のシワだらけのお婆さんだったのだが、長く美しい金髪で目力が強そうな見た目年齢40代…もしかしたら30代くらいのまさに美魔女の姿になった。
これが本来の姿なのかもしれない。

「……」
榛名とムクはあまりの美しさに言葉を失った。

「ありがとうね。私の名は音羽(おとは)。アンタ…いや、神子様のお名前を聞いてもよろしいか?」

音羽は見た目だけじゃなく色気のある美声だった。

「榛名です」

「榛名様か……私も東丿島に行っていいでしょうか?旦那と息子…そして愚かな番の小娘を躾てやらねばならん。恩を返すために役に立たせてほしい」

強い目力の人に言われたら断れない

「はい、助かります。ムクちゃんいいかな?」

「むぅ~…ハルナ様に何かしたら十六夜様にチクってやるですぅ!」

「構わない。私の命は榛名様に預けよう」


ムクは2人を乗せ、最短ルートで東丿島へ戻った。


移動中「10分近く部屋に居たのによく見つからなかったね」素朴な疑問を榛名が呟くと音羽は
「私がいた部屋は霊力はもちろん神通力ですら遮断してしまう特殊な部屋ですからね。特殊な鍵を使っていて入れないはずですがね…」

「え、鍵なんてあったんですか!」
気配を感じて吸い込まれるように入っただけなんだけど…と更に疑問が増えた

「きっとハルナ様は神通力が異常だからですぅ!」

「私ってそんなに異常なの…」
自信を持って言うムクに榛名はなんとも言えない気持ちだ。十六夜からも異常と言われるが自分にはどれだけ神通力があるか感じられないのだから。

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