白球を天高くかざせ乙女たち!
第2球 俊足の麗人
「約束が違うじゃないか!」
「では、もう1回勝負しましょう」
それ本当に言ってるの天花寺さん? っと心の中でツッコんでおく。もう野球部にかかわらないって相手は条件を飲んだのに野球部に入部しろだなんて……。でも、気持ちはわからないでもない。あの投球は磨けばおそらくとんでもなく凄いことになる。
「……じゃあ、そこの小動物とアタイが勝負するのはどうだい?」
「ええ、構いません!」
ちょっ、天花寺さん?
僕の意思はいずこへ?
すこし考えた末、桜木茉地が出した答えは、先ほどからずっとビクついている僕を狙い撃ちすること。
コーチを任せるなら、当然、部員以上に野球はできるんだよな? というプレッシャーをかけてきた。
勝負は桜木茉地が10球投げて僕が3球以上、外野へ運ぶべばこちらが勝ち。守備には野球部の3人を借りることになっており、もし野球部が守備で手を抜いた場合、ヤンキーチームは無条件で勝利となる。
ボールはカウントされず、もしデッドボールが出た場合は、野球部チームの勝利とすることに合意した。