白球を天高くかざせ乙女たち!

第3球 九家学院の女王


 源水那さまの去り際の言葉が頭から離れず、昨夜はなかなか眠れなかった。その影響で今日は一日ずっと授業中に睡魔と戦う羽目になってしまった。

 可愛いって、どういう意味なんだろう。まさか、こんなどこにでも転がっているような見てくれに対してではないだろうし、ちょっと鈍感系なキャラに見えたのだろうか? どんなに考えても答えが見つからない。

 とりあえず、野球部のコーチを頼まれていることだし、放課後、野球部へ顔を出すことにした。まあ、コーチとは言っても、マネージャー的な役割もしなきゃいけないだろうし、意外とやることは多いかもしれない。

「お疲れ様です……って、西さん、どうしたんですか!?」

 翌日、放課後に野球部に行くと、ロッカーに頭だけツッコんでシクシクと泣いている西さんを発見した。

「いやぁ、ちょっとアタイが熱くなっちまって……」

 頬を指でかきながら、長身金髪の桜木茉地が事情を説明した。

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